ライムの日常

「りーきv何してんの〜?vv」
後ろから抱きついた。
しかし、ランドセルが俺とこの子の間にあって邪魔だ。
この後姿は何度も見たから、間違えるはずがない。

小さい頭が動いて、俺に顔を見せた。
「ライム。ライムこそどーしてここに?」
可愛い口が動いた。
俺の質問に受け答えしてくれるまでにどれ位かかったか。
「ぐーぜんぐーぜんv」
なんてのは、嘘
理己の行動範囲はしっかり把握済みだ。
まあ、ここに来るまでに何箇所か失敗したけど。
「で、今日は何してんの?」
理己はノートを持っている。
「俳句。」
「俳句?」
「または、短歌。」
「俳句と短歌書いてんの?」
「そう。」
「いいの出来た?」
何も答えない。
ダメらしいな。

後ろでずっと抱きしめて様子を伺っていたら、
「ライム。」
「な〜に?vvvv」
ぅわv理己から話しかけてくれるなんてvvv

「邪魔。」
ブリザードが吹いた。一気にここら一体氷点下だ。
「…そうだよね。俺がいたら良い考えも浮かばないよね〜」
俺は理己から離れた。
しかし、こんなことでは俺はへこたれない。
理己の冷たい態度には慣れている。
この冷たさがなんとも言えないのだ。
…俺って、M気あり?

俺は理己から離れて、携帯カメラを構えた。
理己は何か書き始めた。
俺は理己の周りをうろちょろして、花や木を撮るフリで、いろいろなアングルで理己を撮った。
今日も理己を撮れた。
俺の携帯の中には理己で一杯だ。
もちろん、PCの中にもたくさんいる。
だから俺の部屋は、理己で溢れている。
家人には呆れられているが、俺は隠さない主義なんだ。

空が赤がかってきた。
理己が立った。
「帰んの?」
「帰る。」
「良いのできた?見せてv」
理己が無言でノートを差し出した。
「ぉお!キレー!上手いじゃん。花の絵。・・・で、短歌と俳句は?」
理己が歩き出したから着いて行って、横に並んで歩いた。
「…今日は俳句と短歌の気分じゃなかった。」
「…良い絵描けたからいいじゃん♪」
理己は俳句と短歌ではなく絵を描いていた。
理己にはよくあることだ。
絵を描く時間と言っていたら、冥想の時間だったと言った時もある。

「今日はもう帰んの?」
「ん。佐貴がバイトだから。」
だから夕飯を理己が作るらしい。
佐貴とは理己の兄貴だ。
理己の家は父子家庭で、佐貴がいないときは理己が家事をする。
俺は佐貴に会ったことはないが、理己の口からよく聞く名前だ。
まあ、身内だから仕方が無い。
…でも、妬いてしまう。

「あっ!今度さ、バンドメンバーの奴の高校の文化祭でさ、ライブやんだけど、来てくれる?ここなら、ライブハウスじゃないしさ、いいだろ?」
俺はバンドをやっている。
結構ファンもついている。俺についているファンも結構いる。
今まで、理己に俺が演っている姿は見せたことが無い。
ライブハウスは理己の年のやつなんて来ないし、危ないからだ。
まあ、俺らのバンドを見に来る人たちには、危ない奴なんていないだろうけど。
でも、時間も時間だし、危ない。
理己の安全が第一だ。
だから、高校の文化祭は最高だ!昼間だし安全だ。
不良がいたら、まあ、無視すればいい。
やっと、俺のかっこいい姿を理己に見せることができるんだ!!

「いいよ。」
「じゃ、詳しいこと決まったら教えるよv」

今日も一緒に、理己の家までデートした。


もちろん、俺の家は理己の家から離れているけど。