一ヶ月後  (松永 三)

  --不機嫌な王子--
今朝もあいつが僕の家に来た。

というか、あいつは1ヶ月毎日ウチに来た。
頼んでもいないのに、学校のない日まで来やがった。

これは非常に困った。

帰ってくれって言うがあいつは帰らなくて、玄関先で押し問答してたら、母さんが『お友達に悪いから家に上げなさい』て言ってくるんだ。
僕は家になんか絶対入れたくなくて、そうすると母さんが遊んでらっしゃいと言って僕を追い出すから、あいつと二人で出かけることになる。

あいつは始終笑顔で僕を連れ回すが、僕は疲れて疲れて大変なんだ。
他人と一緒に歩くなんて修学旅行の自由時間ぶりだった。
でも僕は好き好んであいつと歩いてるわけではないから、気を使わないで済む。
僕は人と出歩くと気を使わないといけないのがすごい苦痛なんだ。

だから遊びに行かない。
まあ誘ってくれる人もいないけど。

あいつは、お台場や原宿に行ったり、遊園地もいろんな所を行った。

だから休日の次の日の学校はとても怠い。
僕にとっての休日とは、1週間学校に行って、その疲れを取る為にあるのが休みの日なんだ。
なのに、あいつのせいで疲れが溜まる一方だ。
体を休める暇がない。

…まあ少しは楽しいけど。


というか、本当に毎日来るとは思わなかった。
あいつの家は僕の家とは反対方向にある。
学校の最寄駅から反対方向の電車なんだ。だから通学時間は倍かかる。

なのに、あいつは毎朝来た。

僕なら無理。絶対無理。褒美をくれると言われても絶対寝坊する。


けど、あいつはやってのけた。





「なあミツ。帰りさ***駅行かね?」
「・・・・なにしに?」
「そこに気になるカフェがあんだよ!ワッフルが旨そうで旨そうで旨そうで……すっげー食べてみたいんだ。な?行こ?」

「・・・・・・・ああ。」

こいつは、ことあるごとに僕を誘う。
甘い物があるところに。

こいつはでかい図体でワイルドな顔(と自分で言ってた)のくせに、甘い物が大好物だ。
いろんな店の甘い物を食べ歩くのが趣味。家で甘い物を作るのも趣味。らしい。
男のくせに、変わった趣味だ。



「女の子誘えば?」
なんて僕は聞いたこともあった。

そして、こいつは
「女ってさ、うるさくね?食べ終わった後もずっとそこで喋っててさ、2、3時間そこに居るじゃん?俺それ嫌なんだよね。食べたらすぐ出て行きたいじゃん。」

てことは、無口な女の子なら一緒に行ってもいいのか・・・・


「哲くんは?」

そして、こいつは
「あいつさ、甘い物苦手なんだよ。何度か連れてったこともあんだけどさ、『こんな何もかもあめーところいられるかー!』ていつだったかキレやがって今では行ってくれねーよ。甘い顔のくせに甘い物食べられないなんて駄目な男だぜ。」

てことは、哲くんが甘い物が食べられるなら一緒に行ったのか・・・・・・


「ミツはさ、甘い物食べられるじゃん。だから俺は気兼ねなく行けて今すっげー嬉しいんだ。」

僕が甘い物平気だからこいつは誘うのだろうか。
もし苦手だったら、誘わない?
僕はただの付添人・・・・・


「つか今ミツとつき合ってんだから他の奴なんか誘わねーし!なんで他の奴となんか行かなきゃいけねーんだよ。少しでもミツと一緒に居たいのにさ・・・・・」


なんでこいつは、付添人が欲しい為だけに僕を一ヶ月も迎えに来たのだろうか。
こいつ、バカなんじゃ・・・・

「・・・・・・・・・つき合ってる・・・・?」
「?どしたの?誰と誰がつき合ってる?」
「僕と・・・・きみ?」
「????つき合ってるじゃん。俺とミツ。
 "きみ"なんて他人行儀だな!"ユーシ(はーと)"って呼んでよ。」


ああ。そうだった。
僕とこいつはつき合ってるんだ。
こいつが一ヶ月も迎えに来やがったおかげで。

だから、こいつは僕を誘うのか。
つき合ってる同士が出かけるのは当たり前だもんな。デートって言うんだっけ。


「・・・・・・僕、デートしたことないや。」
「?????デートしてるじゃん。ここ一ヶ月俺たちがほぼ毎日していた行為はデートと呼ばない?」

ああ。そうか。デートだったのか。
僕の初デートはいつの間にか終わってしまっていた。


「じゃ、放課後デートは***駅で決定。その前に昼休みの屋上デートがあるな。ミツ、授業中ぼーとするなよ。じゃーな!」
僕はいつの間にか自分の教室に来ていた。
そしてこいつは去っていった。自分の教室に向かうのだろう。





なんで僕は、一ヶ月迎えに来た男とつき合っているのだろうか。
つき合うって、好き同士がやるんじゃないのか。
あいつは、僕のことを好きって言っていた。

僕は、好きではない。
というか、わからない。あいつのことを知らなかったんだ。
それを、一ヶ月一緒にいたからってあいつのことをよく知ることもできないし、好きになるだなんてできない。

というか、僕は好きな人ができたことないから、その感情が分からない。

だから、もしかして僕があいつのこと好きになっても、自分では分からないんだろうな。


僕は悩むことが苦手で、面倒くさがりだから、あいつとつき合うことについてあまり深く考えられない。


あいつは、僕をいじめないからいい。
今のところは。

一緒にいても楽しいし。
今のところ。

僕とあいつって・・・・・世に言う"恋人同士"・・・・・・・・・?

僕に恋人って・・・・・


変。






な、なんか三はおばかな子………?^^;
副題「ミツ、初デート・初恋人に気付く!」でしょうか。
日曜日は体休みの日。私がそうでした。
月〜土まで学校あって、特に部活もしてないんですが、行くだけで疲れるんですね。
だから私は家でダラダラできる日がないと、次の日の学校がつらいんです。
だ、だめだめな青春時代だ・・・・・・
06.10.22.sun

*clap* ←もし宜しければ、拍手どうぞ。作品名もお願いします。

INDEX ←検索サイトから来てくださった方はこちらからお入りください。