不機嫌な王子 1

現在8:20。
5分前に学校に着いて、もうそろそろ朝のHRが始まる。
周りでは昨日も一昨日もクラスメイト達と会っているのに、久しぶりに会ったみたいにクラスメイト達はギャーギャー話している。
俺だってこの間まではそんな奴等と同じだったさ。
今朝だって俺のダチが何人か来て俺に話しかけて来てた。
けど、俺の態度を肌で感じてみんな俺から離れて行った。



そう、俺はとても不機嫌なんだ。
この間から不機嫌なんだ。
顔にも態度にもオーラにも俺の機嫌の悪さが滲み出てる(らしい)。
そして不機嫌なことが関係して(いると思う)、朝も早く起きてしまい、担任が来る前に自分のクラスに着いている。
昨日なんか遅刻が減ったと担任に褒められてしまった。




「はよ!なんだよ、侑士、今日もはえーじゃん。」
「・・・・・あ?」
「んだよ、今日も朝からテンション低いな〜。んなんじゃ、女の子も近づいて来ないぞー?」

哲秋は俺が不機嫌丸出しでも気にせず話しかけてきた。

「で、なんで最近そんな機嫌わりーんだ?話す気になったか?」
「あーーーー・・・・・・・・。」

「おーい。ホームルーム始めんぞー。」
担任が教室に入ってきて、俺たちの話は終わった。






「で、話してみろや。」
「あーまあ、なんて言うかさー・・・・お。その唐揚げくれ。」
「は?なんであげなきゃいけねーんだよ。」

昼休みになって、哲秋は今朝の話をぶり返してきやがった。

「で、話をそらすなよ。そんなんでいたら、俺だって気分悪くなんじゃねーか。」
「んなの知るかよ。まあ、あれだ。うん。」

「はーー。話が進まん。どう?気晴らしにミホ達と遊ぶ?」
「あー?んな気分じゃねーよ。」
ミホは、この前逆ナンしてきた女子高生たちだ。何回か遊んでいてまあ、軽い感じの女たちだ。

俺は不機嫌な理由を一番の親友である、哲秋に話せないでいる。
そう、不機嫌な理由は自分では分かっているのだ。



俺は自分で言うのはなんだが、完璧な男だ。
顔は絶妙なバランスで整っていて、男っぽいワイルドな美形という感じらしい。(この間合コンの時に言われた)
身長は180越えてて筋肉は程よくついていて、惚れ惚れする綺麗な体だ。(この間合コンで持ち帰った女が言ってた)
成績は最悪でも学年で必ず10番以内に入るくらいだ。
運動神経だっていい。
知識は豊富でお笑いだって分かるし、最近の流行だって分かる。会話だって相手を飽きさせない。(俺はホストか?)
とまあ、俺は完璧なんだよ。自分で言ってるわけじゃないぜ?周りの奴等が言うんだ。
まあ、自分でも完璧な男だから謙遜はしないけどな。

こんな完璧な男を女は放っておくはずがないんだ。
そう。俺はもてる。ラブレターも告白も日常茶飯事。ストーカーなんてのもよくある。(あれはキモくてやだけど)
クラス替えの時なんて、新しいクラスの女子どもが頬を染めながらギャーギャー騒いで俺のことを見ていた。
近づいてくる女は、気に入った子は食べちゃっているが、なかなか俺の人気は下がらない。
最近は年上が好みだけど。
そんな女に好かれている男なんて、そこらの男からしたら天敵のようなもので、嫌われ者だろう。しかし俺は会話の話術も巧みで、人当たりも良い。話もできる奴ということで、嫌われ者どころか、クラスでも人気者の部類だ。

そんな俺が、最近では不機嫌な態度をとっている。
クラスの奴等もひそひそと俺のことを話している。
しかし、そんなこと気にする余裕もなく俺は不機嫌な態度を隠さない。


そう。俺は完璧な男なんだ。

完璧な男なのに。

完璧な俺が、あいつのことが気になるんだ。


あいつ。

あんな、平凡な男に──────






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