MAGIC!

「環、なにその格好」
「これは学校の制服だよ。俺今から学校行くから。」
フェイは詰襟の制服を初めて見たらしく、まじまじと見てきた。
「俺急いでるから、学校から帰ってきたらゆっくり見せてやるから。」

「じゃ、いってきます」
「いってらっしゃ〜い!気をつけてね〜〜」
「らっしゃ〜い」
「いってらっしゃい」
京子さんに続いて、楓ちゃんと俺も言った。

「京子さん。環は朝ごはん食べないの?」
「いつもギリギリに起きるから食べる時間ないのよ〜。朝ごはん食べないと力でないのにね〜。フェイちゃんはゆっくり食べてね。」
「いただきます」

「フェイちゃん、今日どうするの?何か予定あるの?」
楓ちゃんの口まわりを拭きながら京子さんは聞いてきた。
「いや、特に予定はないですけどこの辺散歩しようかな〜と」
「そう。今日はお天気良いからお散歩はいいわね。次の休みの日にでも環にどっか案内させるわ。」
「ありがとうございます。」

俺は食べ終わって新聞を読んでいると、楓ちゃんが遊んでとばかりに近づいてきた。
「楓ちゃん、どっかお外にでも行こうか?」
「行く!」
昨日楓ちゃんと遊んだこともあって、随分俺になついてくれた。
「京子さん、楓ちゃん外連れてってもいい?」
「いいわよ。楓のこと宜しくね」

俺は環の部屋に行って、環の服を借りた。
俺の服じゃ目立ちそうだからな。

「じゃ、行ってきます。」
「いってらっしゃい〜。楓、フェイお兄ちゃんの言う事聞くのよ。」
「だいじょぶ。かえで、いい子!いってきます!」

「う〜〜ん。暖かいね〜。楓ちゃん、どこ行く?つっても俺この辺分かんないけど。」
楓ちゃんは俺の話も聞かずにさっさと走って行ってしまった。
「あ!待ってよ〜危ないよ〜!」
楓ちゃんの後をついて行くと、公園についた。
「ここ来たかったの?よく知ってるね〜」
楓ちゃんはブランコのほうに一目散に走っていった。
どうやら、ブランコが目的だったようだ。
「楓ちゃん、一人じゃ危ないよ〜」
俺の話なんか全然聞かずに勝手にブランコに乗ってしまった。

楓ちゃんの乗ったブランコのもう片方には、10歳くらいの男の子が座っていた。
こんな時間に公園いて・・・学校行かなくていいのかな・・・
男の子はブランコに座って手の上で何かをいじくっていた。
俺は楓ちゃんを見守りながら、男の子をちらちら見ていた。

「ぅわ!お前、何すんだよ!」
楓ちゃんがブランコから降りて男の子の持っている物を覗きこんでいた。
「お兄ちゃん、これなに?」
「・・・・何って、ゲームボーイだけど」
「おもしろいの?」
「・・・・ああ、面白いけど」
「僕もやりたい」
「・・・・・お前にはできないよ。小学生にでもなったら親に買ってもらえ。」
「楓ちゃん、どうかした?」
何やら、2人で言い合ってるので俺も入った。
「フェー。僕、これやりたい」
楓ちゃんが男の子の持っている物を指して言った。
「これ?僕、これこの子に貸せないかな〜」
「嫌だよ!だからこいつには扱えないって!」
「楓ちゃん。無理だって。もう少し大きくなったらお兄ちゃんに借りようね。」
「ん〜〜もう少し大きくなる!」
どうやら、楓ちゃんは納得してくれたらしく、またブランコに乗った。

「ねえ、君。学校は?行かなくていいの?」
「・・・うるさいな。学校なんて行かなくていいんだよ。」
「え〜〜でも日本の義務教育でしょ〜?行きたくない理由でもあんの?」
「うるさいってば!おせっかいな奴だなー」
そう言って、彼はブランコを降りてどっかへ行ってしまった。
「・・・・楓ちゃん。俺っておせっかい?」
「おせっかいー」
でも、あの男の子気になるしな・・・。
「フェー。ぽんぽん空いたー」
「ああ、もうお昼だね。じゃあ、帰ろっか。」

俺は楓ちゃんと手をつないで公園を出ようとしたら、さっきの男の子がベンチで座っているのを見た。
傍には、日本の小学生が持っている黒い鞄が置いてあった。
何か、学校に行けない事情があるのだろうか・・・。
「フェー。いこー?」
「ああ、ごめんごめん。行こうね」

俺は彼のことが気になったが、楓ちゃんと一緒に斉藤家に向かった。