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「環(たまき)ちゃん。明日うちにホームステイする子が来るからお部屋片付けといてね。」 「・・・・ホームステイ?うちに誰か来んの?そんな話聞いてないんだけど。」 「あら、私だって今日知ったんだからしょうがないでしょ。環ちゃんのお部屋に泊まってもらうからね。」 「なに今日聞いたって・・・・つか俺の部屋に泊まらすの?」 「そうよ〜。うちには余分なお部屋はないじゃない。環ちゃんと同じくらいの年だから大丈夫でしょ。」 「だったらなんでホームステイなんて引き受けたんだよ。」 「しょうがないのよ。拒否権は無いんだから。」 「なんで拒否権無いんだよ。・・・どこの国の人?」 「え〜・・どこの国って言われても分からないわよ〜。大丈夫よ。来る人、日本語喋れるから。」 「どこの国の人かも分からないような人間、なんでうちに来んだよ。本当にそいつうちにいれて大丈夫なのか?!」 「大丈夫よ〜。ちゃんとした人だから。あら、楓(かえで)ちゃんお眠?お部屋で寝ましょうね〜」 「ちょ、母さん!まだ話終わってないんだけど!」 「とにかくお部屋片付けといてよ。それと母さん、明日はお客さんに必要な物買いに行くから、来たらもてなしてあげてね。」 「えっ何それ?!俺やだよ。」 「頼んだわよ〜。」 そう言い残して、弟を抱っこしてリビングを出て行った。 これが、俺がもう寝るかと思って部屋に向かおうとした時に、母親に言われたことだ。 俺は納得できなかったが、仕方なく部屋を片付けた。 おかげで今、もの凄く眠い。 俺の家は狭いし、俺の部屋も狭い。 それでなんでホームステイなんかさせるのだろうか。俺には全く分からない。 しかもホームステイさせるやつの、何の情報も知らされてない。 名前さえ知らない。 午前中来るということで、睡眠時間を削って早く起きたのだ。 それなのに、全然来ないじゃないか。もうお昼過ぎてるじゃないか。 楓が気持ちよさそうに寝ている。 ・・・やばい。眠くなってきた・・・・ 俺はいつのまにか眠っていたらしい。 ソファに寝転がってテレビ見ていたのが悪いのだろう。 窓の外が赤みがかってきている。もう夕方だ。 やつはまだ来ない。 いくら何でも遅すぎやしないか? 迷子になってるんじゃないのか? というか、ホームステイさせるやつを1人でうちまで来させるほうが無謀なんじゃ・・・ 普通向かえに行くもんだろ。 俺は起きぬけで頭がぼーとしていたんだ。 楓がいることも忘れていた。 「あのー起きました?こんにちわ。今日からお世話になります。よろしく。」 横からいきなり声がした。驚いて見れば、知らない人が楓を抱きかかえている。 「えっ・・・・あんた誰?どっから入った?!」 「俺は今日からホームステイさせてもらう者で、フェイ・サーリーと申します。家には魔術で入りました。」 あぁ、ホームステイのやつか。 ・・・魔術?今魔術とこいつは言ったか? 「・・・・・・・・・あんた、魔術師なの?」 「はい、そうです。連絡行きませんでした?」 「いや、明日ホームステイするやつが来るとしか母親から聞いてないから・・・」 「そうですか・・」 フェイ・サーリーと名乗ったやつは、髪は薄い茶色で肩まであり、眼は緑色だ。背は俺と同じくらいだ。 しかし、突っ込みどころは服装だ。 マントらしき物を肩から掛けていて、腰には紐やら帯やらをつけている。家の中だというのにブーツを履いたままだ。 耳と首と腕には同じ宝石のアクセサリーをつけている。 なんか、RPGにでも出てきそうな服装、と言った感じだ。 といっても、俺はRPGをやったことないが。 こんな服装の国ってあったっけ? 日本に来るからって、わざわざお国の古典服でも着て来てくれたのかな。 「とりあえずさ、靴脱いで?日本じゃ家の中では脱ぐんだよ。」 「あっ!ごめん!そうだね、日本は土足禁止だったね。」 「玄関あっちね。」 楓を下に下ろしてフェイを玄関にやり、俺はコーヒーを入れるためにキッチンへ向かった。 魔術師がどうとかここまで言っていたが、俺の家は魔術と深い関わりがあるのだ。 俺も含め、斉藤家の人々は魔術師なのだ。 と言っても、手品と言う意味の魔術師ではない。 魔女とかが使っていた魔術のほうだ。 このことは門外不出ということで代々受け継がれてきている。 そりゃ、今の科学の現代で俺ん家魔術師なんだ、なんて言ったらイッちゃってる人たちとして認識されるだろう。 こんなオカルト的なことは。 秘密を守ってきたからこそ、斉藤家は今まで途絶えずにここまでこれたのだ。 そして俺は、普通に学校に通って普通に学生をやっているが、小さい頃から魔術の勉強をさせられていた。 おかげで化学の成績はとっても良いが。 だから、こいつが魔術師だって言っても変人扱いはしない。 俺たちは向かい合ってソファに座り、とりあえず落ち着いた。 「コーヒーで大丈夫だった?」 「はい、大丈夫です。ありがとうございます。頂きます。・・・・あのお名前は?」 「ああ、ごめん。俺は斉藤環。環って呼んで。こいつは楓。」 「はい。宜しくおねがいします。楓ちゃんよろしく。」 「よーしく!」 俺の横にいる楓は、元気よく返事した。 「えっと、敬語やめてくれる?年同じくらいっしょ?つか、日本語上手いね・・・俺普通に話してるけど、理解できる?」 「大丈夫です。ちゃんと理解できます・・・できるよ。」 「でさ、フェイは・・・フェイって呼んでいいよね?どこの国の人?魔術師ってことはうちの親戚?どうみても外国人に見えるけど・・・」 「私は、今で言うヨーロッパのほうから来たんだ。今はもう国は無くなってるけど、アラゴンドルという国。」 「アラゴンドル?聞いたことないけど・・・今はもう無いってどういうこと?」 「えっと・・・これも聞いてないのか・・・。私は約1000年前から来たんだ。君の祖先なんだ。」 フェイは俺に向かってニッコリ微笑んだ。 「・・・1000年前?祖先・・・なの?」 「うん、そう。ここには、観光で来たんだ。」 フェイは俺の祖先と言い、1000年前から来た理由は観光と言う。 「魔術ってそんなことできんの?時空を越えるって言うの?俺知らないけど・・・」 「かなり高度な魔術だけどね。この魔術知ってる人はほどんどいないんだ。未来や過去行くなんて、やっぱルール違反じゃん?」 「なのに、観光のためだけにここ来たの?」 「えへへー。やっぱ未来って興味あるじゃん?」 「・・・・俺にもその魔術できる?」 「うーん。無理だろうね。環がどのくらいの魔術レベルか分からないけど、相当難しいから。」 つまり、フェイはかなり優秀な魔術師のようだ。 「ただいまー!お客さん来たー?楓ちゃんは大人しくしてたー?」 母さんが帰ってきたようで、ドタドタとリビングに入ってきた。手には荷物をたくさん持っている。 「おう、来たよ。フェイ・サーリーさん。つか、何で先祖様って教えてくれなかったの?」 「まあまあまあ!かわいいわね〜。私はこの子達の母親の京子。よろしくね〜フェイちゃんv」 「よろしくお願いします。京子さん。」 「京子さんだなんて!こんな美男子に言われちゃったら、おばさん舞い上がっちゃうわよ〜!」 母さんは照れて、バシバシとフェイを叩いている。フェイは困った顔している。 「で、なんで教えてくれなかったの?」 「えー教えてなかったっけ?急なことだったし、お母さん、こう見えても忙しいから忘れちゃうのよね〜」 嘘付け。言うまでずっとテレビ見てたじゃないか。 「そうよ!ご先祖様よ!フェイちゃんは!本当、ステキな方ね〜!!この血が環や楓に流れてるのね・・・環・・・はもう無理だから、楓!こんなお兄ちゃんみたいに 育つのよ!」 母さんは勢いこんで楓に言ったが、楓は買ってきた袋の中を物色している。 「母さん・・・俺だって、それなりに・・・」 「分からないことがあったら、環に聞いてねv狭い家だけど、リラックスしてね〜」 「はい、とっても落ち着くお家ですよ。」 「まあ!本当、上手いんだから!環、フェイちゃんのことよろしくね」 「・・・・ああ。」 こんな感じで、俺の家族とご先祖様の生活は始まった。 |