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「ね〜ハル〜どっか遊び行かん?俺つまんないんだけどー。暇で死にそ。」 靖(セイ)が大人しく本でも読んでると思ったら、猫なで声で寝ている俺に言ってきた。そんな声でお前が言っても な・・・ 様になってるさ。お前は顔がとっても宜しいから何言ってもどんな事やっても様になるさ。 俺がやったら「キモイ」の一言だろうけどさ。 「靖君ごめんね〜。パパね〜、昨日飲み過ぎて体調悪いんだ。竣(シュン)と一緒にどっか遊びに行っておいで〜」 「んなの飲み過ぎるハルが悪いんだろ〜。大人しくカワイイ子供たちが居る家に早く帰ってくればいいんだよ」 「・・・そんなこと言ってもさ〜、大人には大人の付き合いがあるんだよ〜」 なんて、久しぶりの飲み会だったからついつい飲んじゃったんだよな〜。 いつも誘われるけど、子供たちがいるから早く帰っているけどさ、たまには、さ。 俺だってたまには一人身の気分になりたかったんだよー。 俺の友人たちは独身貴族でばんばん遊んでる奴等がまだまだたくさんいるんだからさ。 なんて考えても、子供はかわいいさ。 仕事で疲れて家に帰って来ても、暖かい部屋に入って子供たちの顔見るとホッとするんだよなー。 俺って、恵まれてるよなー。うん。 「どうせ、俺たちのことなんか忘れて、家庭持ってないやつらと一緒に騒いでたんだろー。独身気分でさー。」 ・・・うわー。言い当てられてるし。 「あっ!それとも、浮気でもしてたの!?俺たちと言うものがあるというのに!!」 ・・・なんだよ、浮気って。俺の恋人はお前たちなのか? いや、恋人と思えるくらいに愛してるけどさ。 「おい!シュンもなんか言えよ!いきなり家に『ママよ〜v』なんか言って女が来たらどうする!ぅわ!想像するだけ で最悪だよ〜。おい、ハル。そんな女・・・つか、女連れて来た時点で親子の縁切って、お前を犯すからな!」 ・・・おいおい。父親に向かって犯すとか言うんじゃないよ。 それに、うちにはまだ小学生の子がいるんだから。言葉には気を付けて欲しいよ。いや、お前もまだ中学生だけど さ。 あー。頭痛い。 竣が宿題かなんかしていたけれど、靖に言われてこちらに顔を向けてきた。 「俺も、ハルが女の人連れてきたら嫌だよ。ハルを愛してるのは俺なんだから。」 ・・・竣ちゃ〜ん。言ってることはカワイイんだけど、顔が本気だ。男の目になってる。 「・・・分かったよ。君たちの愛情は十分に分かったよ〜。俺は浮気なんてしてないし今は恋人もいないよ〜。てゆう かね、君たちを育てんのに俺はイッパイイッパイなんだよ〜〜。分かってよ、俺の苦労〜。」 「大丈夫。ハルの苦労は十分に分かってるさ。なんたって、テレビも買えないんだしな。」 いや、テレビは買えないんじゃなくて、買わないんだよ〜。 俺はテレビなんて滅多に見ないし、どうせ、お前たちもテレビ番組なんて興味無さそうだし。 それに今の子はテレビゲームばっかするって言うから、そんなの体に悪いじゃん? ―――ビー、ビー 誰か来たみたいだ。うちの家には「ピンポ〜ン♪」なんてしゃれたチャイムは無いんだ。 「靖くん。よろしく。どうせ、新聞の勧誘かなんかだろうから。」 俺はセールスとかを相手するのが苦手なんだ。その点、靖だったら口八丁手八丁で相手を家から追い出してくれ ている。さすが俺の子。どのへんに俺の遺伝子が入っているのか全く分からない。 「ハイハーイ。どなたですか〜?新聞の勧誘?なんかのセールス?あいにくうちには美顔器なんて必要な人間は いないからな〜。ハルのストーカーだったら東京湾行きだからな〜。」 なんて、ドアの方に向かいながら言ってドアを開けた。 おい、なんだ。ストーカーて。ストーカーに会いそうなのは靖や竣だろ。 「ん?あなたどちら様?勧誘・・・じゃないね。何も持ってないし。」 「えっと、あの・・・ここ、川上春立さんのお宅ですか?春立さんにお会いしたいのですが・・・」 「靖ー、俺の客ー?じゃあ、上がってもらいなさい。」 俺の知り合いかな? 「どうぞ、お上がりください〜。狭い家ですが。」 悪かったな。狭い家で。 ・・・本当に狭い家だから何も言えないけどさ。 「・・・おじゃまします。」 家に入って来た人は若い男性で、えっらく男前で、背が高い人だった。 彼にテーブルの前に座るように促して、俺は彼の正面に座った。 「どうも、おじゃまします。・・・えっと、川上春立さん・・・で宜しいでしょうか?」 「はい。合ってますが・・・失礼ですが、どちら様ですか?会ったことありましたでしょうか。」 俺は彼を初めてみた。てっきり知り合いかと思って家に上げたが、迂闊だったかな。 「えっと、お会いしたのは昨日なんですが、その時お忘れになられて・・・」 と、彼は俺が毎日触っている、ぼろぼろの財布をテーブルの上に出した。 「あ!!!俺の財布!?なんで!?俺落としたっけ?」 「おい、ハル!なんでそんな大事な物落としてんだよ!!?俺たちを飢え死にさせる気っだのか!?」 俺は何で財布が彼から出てきたのか分からずに驚いているが、それよりも靖が驚いて、怒られてしまった。 「いや、財布はここに・・・あれ、無い・・・じゃあやっぱ、俺落としたの?」 俺は昨日着てた背広を確認したが、案の定そこには財布は無かった。 「えっと・・・これどこにありました?」 この財布は俺のだと観念するしかなかった。 財布を手にとって、中身を確認した。 ・・・横では靖が怒りオーラを充満させている。 「これは・・・その様子だと、昨日、俺と会ったことも覚えていませんよね?」 「あ〜・・・すいません。覚えてません。」 「そうですか・・・。昨日、いや、今日の夜中ですね。駅のあたりでいきなり、俺の前であなたがこけたんですよ。そ れはもう、見事に。それで俺が助け起こしたら、俺に向かってリンゴジュース飲みたいって言ってきて、抱きついて きて離れなかったんですよ。離れないし、飲みたい飲みたいとずっと言っているので、引きずって自動販売機の前 まで行ったんですよ。そしたら、財布取り出して俺に渡して、買えと言うので買ったんです。それで買ってたら、いつ のまにかいなくなってたんです。財布を俺に預けたままで。なので、仕方なく、悪いと思いながら財布の中を拝見さ せていただいて、住所を調べさせていただきました。・・・覚えてません?」 俺は驚いた。 そんなことやっといて、覚えていないなんて・・・!! そういえば、体の節々が痛いような・・・ 「・・・えーと、・・・それは、本当?」 俺は信じられなかったさ。 信じたくなかったのだ。 「まあ、一応、本当ですね。」 彼はサラリと肯定してくれた。 「おい、ハル。お前、この人にとんでもなく迷惑かけたんだから、さっさと謝りなさいよ。」 「あ!ごめん!すいません!!俺本当・・・とてつもなくご迷惑おかけしました。しかも、わざわざ見ず知らずの奴に 財布まで届けていただいて・・・。本当、すいませんでした!!!」 「そんな、いいですよ。本当は、無事に家に着けたのか心配だったんです。」 うわー・・・良い人だー。 この位の若い人なら財布をがめてしまうだろうに、わざわざ届けてくれて、しかも俺の心配をしてくれるなんて!! 「本当、ありがとう!!何かお礼するよ。えっと・・・あ、朝ごはん食べた?あ、もうお昼か。食べていきなよ。 靖!昼飯よろしく。」 「へいへ〜い。ハルの恩人ですもんね〜。」 「あ、いいですよ。お気遣いは!!本当、あなたの無事を確認できたことで安心しましたから。それだけでいいです よ。」 「いやいや、君若いのに、偉いね〜。ダメだよ。俺君に迷惑掛けちゃったんだからさ。ここはちゃんと恩返ししないと 。」 「・・・じゃあ、お言葉に甘えて、頂きます。」 「うんうん。遠慮しないでね。足崩しなよ。」 靖が昼飯を作っている間に、俺は彼のことを聞いた。 名前は池崎 晶人(イケサキ アキト)君で、21歳らしい!!若い! 俺は24,5歳だと思っていた。 学生ではなく、テレビや雑誌関係のお仕事をしているらしい。 そして彼は、俺が彼と同じ年頃だと思っていたらしい。 背広を着ていたから、一応それ相応の対応をしたらしい。 28歳と言ったら、かなり驚かれた。 ・・・どうせ俺は童顔ですよ。 靖と竣と一緒にいると兄弟に間違われるし。 話していて思ったが、これはかなり遊んでいる青年だと思った。 まあ、これほどルックスよければ、寄ってくる女の人は選り取りみどりだろう。 ・・・男として、羨ましい限りだ。 無いものねだりしても仕方が無いけど。 「あのー、あの人とこの子はどう言ったご関係でしょうか?」 あの人とは靖を指していて、この子とは竣を指しているようだ。 「あれが長男の靖で、これが次男の竣。竣、ご挨拶は?」 「こんにちは。父がお世話になりました。」 「はい、よくできました〜〜v」 俺は親バカだ。 「えーと・・・チョウナン?ジナン?・・・長男、次男。・・・春立さんのお子さん、ということですか?」 アキト君はさっきより驚いているようだ。 「そうだよ、俺の子供たち。」 「・・・靖さんの年齢聞いてもいいですか?」 「えっと、靖は・・・14だ。竣は10歳。」 「えっ!?14!!?・・・見えない。18くらいかと・・・」 「はははー。靖は老けてるもんなー。」 「・・・失礼ですが、血は繋がっているんですか?」 「正真正銘俺の子たちさー。ちゃんと調べたのさ。そりゃあ、俺には全く似てないけどさ。」 「・・・随分早い結婚だったんですね。」 何故か、彼はションボリしてしまった。 「いや、結婚はしてないんだ。まあ、いろいろ事情があってさ。」 「・・・・ということは、今は奥さんいないんですか?」 「うん。いないんだー。てゆうか、奥さんいたことないけど。」 アキト君は元気になってきた。 「・・・恋人は?」 「う〜ん、痛いとこ突くね〜。いませんよ。俺には二人の子供を見るので手一杯なんだ。」 アキト君は満面の笑みを浮かべている。 「春立さん!!俺、恋人に立候補していいですか!?」 「はっ!?恋人!?アキト君が!!?」 「おい、てめー!!!何言ってやがんだ!!!ハルは俺のなんだよ!!」 「ハルは俺のだよ!」 「春立さん!幸せにします!二人でこの子たちを育てましょう!!」 アキト君が変なことを言って、靖と竣が入ってきた。 ギャーギャーと3人がまだ何か喚いている。 そうだ、俺は頭が痛かったんだ。 思い出したら、余計痛くなってきてしまった。 さっきよりも痛い。。。 ああ、こんな時は寝たほうがいいんだ。寝よう寝よう。 「ああ、春立さん!寝ないで!これからの俺たちを話し合おう!」 「まだ言うか!小僧!顔だけの奴が、早く帰れ!」 何か言ってるが、何も聞こえない。 俺は寝たんだ。もう眠っているんだ! 「春立さんーーー!」 ・・・・・起きたら大変そうだな。 |