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「おっリュウ!ちょうどいいとこに居た。」 「はなちゃん・・・」 華ちゃんだ!華ちゃんは俺を探してくれたのか!? 俺に会いに来てくれるなんて・・・・!! 「今日さ、この前言ってた映画観に行こうと思うんだけど、リュウどうする?」 「え・・・今日?」 今日はバンドの練習日なんだけど・・・ 「ああ。予定あんだったらまた今度行こうぜ。今日はサキと一緒に行ってくるからさ。」 「2人で行くの!?」 「えっそうだけど・・・他に行くやつなんていないし・・・。」 「行く!俺も行く!」 「いいのか?なんか予定あんじゃないのか?」 「大丈夫!俺今日すごい暇だったから!!」 「そ・・・そうか。んじゃ一緒に行こ。リュウ、よほど映画行きたかったんだな・・・」 危ないところだった。 華ちゃんと宮内2人だけで行かせるところだった。 宮内は何考えてるか分からないやつだから華ちゃんと2人だけにさせるわけにはいかない。 俺の華ちゃんに何かあってからでは遅いんだ!! 練習なんていつでもできるし。 「んじゃ、玄関で待ち合わせな。・・・リュウ?聞いてるか?おーい。」 華ちゃんを守らなくては!! 「リュウ。サキ連れて来た。んじゃ、行こっか。」 「榊くん、こんちは。」 「・・・・ああ。」 宮内はまたニコニコしてやがる。 怪しい。怪しすぎる。 「ごめんね。俺も一緒で。」 「・・・・別に、いいけど。」 なんだ!?ごめんって!! 宮内は俺の華ちゃんの思いに気づいてんのか!? しかも謝ってる割にすっげー楽しそうな顔してるし。 「おっサキ、もうリュウと仲良くなったのか?」 「ん〜俺の片思いってとこかな。」 「な・・・!」 「なんだよそれ〜。サキの片思いかよ。リュウ応えてやんなきゃダメじゃん。」 華ちゃんはすごいうけている。 俺は宮内の発言に驚いたけど、そうか・・・冗談か・・・。 当たり前だよな・・・・。 いきなり告白なんてしないよな。脈絡ないし。 「宮内とは・・・両思いにはなりたくないな。」 「ぅは!リュウ言うね〜!サキふられちゃったじゃん!」 華ちゃんは腹を抱えて笑っている。 「あ〜あ。俺ふられちゃったよ。まあ、プリンスとお付き合いできるとは思ってなかったけどね。俺、悲しいわ。」 宮内は泣き真似を始めた。 華ちゃんは一層笑ってるし。 ・・・・ん?・・・・プリンス?なんだ、それは・・・。 「そうだよ、サキ!恐れ多くもプリンス様と付き合えるなんておこがましいぞ!こうやって一緒に話ができるってだけでも凄いじゃないか!いや、一緒に映画 行くってことは脈があるかもしれないぞ!サキ子!がんばよ!」 「そうよね。一緒に放課後過ごしてるんだからいけるわよね。私がんばるわ!華子!」 「・・・・あのさ、その・・・・プリンスって・・・誰?」 「え?プリンス?リュウ子知らないの?」 「あら、ダメじゃない。リュウ子、プリンスを知らないなんて。さてはあなた、モグリね。」 「しょうがないわ。リュウ子の為に私が説明してあげてもよくてよ。」 「華子!リュウ子のために隅から隅まで説明してあげて!」 2人はノリノリだ。 「リュウ子、プリンスはね、私たちの学校の学生で、とても見目麗しく頭もよろしい方なのよ!それにバンド活動もしていてギタリストなのよ!学内の女子から は当然超モテで、学外の女子学生からも超超モテモテになられてる方なのですわよ!そしていつのまにかその超モテになられる方を陰の業界用語で“プリン ス様”と言うようになったのよ!分かった!?リュウ子!このくらい知ってなくてはいけなくてよ!」 華ちゃんは興奮気味に説明してくれた。 どうやら役に陶酔しているようだ。 「・・・へ〜分かったわ。華子。・・・・で、そのプリンス様ってのは一体・・・」 俺も一応乗ってみた。 「「お前だー!!!」」 華ちゃんと宮内は同時に俺に向かって言った。 「おい!鈍いぞ!リュウ子!本当にプリンスって言われてたの知らなかったのか?」 「・・・・初めて聞いたけど・・・」 「リュウ子ちゃん、あなた高飛車な子だと思っていたけど随分かわいい性格してるのね。」 「リュウ子ちゃん!鈍くてかわいいわ!」 は・・・華ちゃん・・・かわいいのは君だよ・・。 プリンス・・・・。知らないぞ。そんな業界用語は。 どこの業界か知らないけど。 誰だそんなこと言いだしたのは・・・・。 プリンスなんて・・・なんて恥ずかしいあだ名なんだ・・。 「ん?校門にすっごい車が・・・。みんな遠巻きに見てるし。女の子たちなんてキラキラな目で見てるぞ。なんだ、あれ。」 「ああ、リュウ子ちゃん。あのうちの学校の制服じゃない女の子たちはみんなあなたのファンよ。」 宮内はまだやってるし。 俺たちが校門近くにきて好奇な目で車を見ていると中から人がでてきた。 「佐貴くん!」 そいつは俺たち向かって走ってきた。 さき?さきって・・・・宮内のことか? 「佐貴くん、佐貴くん!!会いたかったよ!!!」 すっごい興奮気味で宮内に張り付いている。 空で止まっている手は宮内を抱きしめたいが抱きしめられないで止まっている感じだ。 そいつは俺より背が高く、顔もなかなかだ。 服装はブランド物でいかにも金持ち風情を醸し出している。 「スケさん、こんちわ。」 「あ、華くん。こんにちわ。」 こいつは華ちゃんとも知り合いなのか!? 「佐貴くん・・この男は誰だい?」 「あっこいつは俺のダチ。」 「ふ〜ん。華くんのお友達か。」 そいつはジロジロ俺を見ている。 何故か敵意な目で見られている。 「聡亮・・・・なんで、ここにいる?」 宮内が、先ほどまでの明るさとは打って変わって静かに怒っている感じだ。 「いや、佐貴くんに会いたくて・・・・もうそろそろ1ヶ月たつし・・・」 どんどん声が小さくなっていった。 「あのさ、だったら、携帯にメールするなり連絡すればいいじゃん。」 「だって、メールしても返事返ってこないし・・・」 「じゃなくても、なんで学校に来るわけ?」 「・・・・・・佐貴くんに会いたくて・・・・」 「・・・・・・・」 「・・・ごめん。」 宮内は無言で相手を責めている。 これは・・・ヤバイ雰囲気では・・? 周りのやつらも遠巻きにこの騒ぎを興味深げに見ている。 「変な注目浴びてるし・・・。帰れよ、お前。行こう、華、榊。」 「えっああ・・・。」 宮内は俺たちを促して歩き出した。 「待ってよ、佐貴くん!酷いよ!1ヶ月に1回は会ってくれるって約束じゃん!なのに全然連絡くれないし。せっかく会いに来たのにそんな冷たくしなくてもさ・・ ・。絶対離さないから。」 「・・・・・・はぁー。」 宮内はそいつに掴まれた腕を見ながらため息をついた。 「ごめん、華、榊。今日俺映画パスな。・・・・こいつどうにかしないとさ。」 「・・分かった。じゃ、サキまたな。」 どうやら、華ちゃんはこの状況を理解しているようだ。 「じゃあな、榊。」 「あ・・・・ああ。」 そう言い宮内はそいつを車に乗せて自分も車に乗って去っていった。 俺はこの状況についていけなくて立ち止まっていた。 周りのやつらは騒ぎの中心がいなくなったから散り散りに去っていった。 「リュウ、行こうか。」 「あっああ。」 「どうする?映画また今度にしよっか?」 「あ・・そうだね。」 「んじゃ、帰るか〜」 俺たちは駅に向かって歩いた。 「・・・今の人って、華ちゃんと宮内の知り合い?」 「あ、ああ・・うん。サキの知り合い。ごめんな〜変なの見せちゃって。」 別に、華ちゃんが謝ることではないのに・・・。 知り合いというが・・・あれはどうみても・・・ 「・・宮内の・・・恋人?」 「知り合い。詳しくはサキに聞いてみな。」 それ以上、華ちゃんは答えてくれないようだ。 いつのまにか俺たちは駅に着いていた。 「じゃあな、リュウ!また明日な!」 「じゃあ。華ちゃん、気をつけて帰るんだよ。」 「またな!」 華ちゃんは元気に走っていった。 華ちゃんの家とは反対方向だからここでお別れだ。 ここでお別れ・・・・ お別れ・・ あ!!今までずっと2人きりだった!!! 気づいたら駅だったし・・・ せっかく華ちゃんと2人きりで・・・ せっかくいっしょに下校デートだったのに・・・!! しかも2人だけで映画に行く、本当のデートになるチャンスだったのに・・・!!! 失敗した!!! |