きっかけ

俺には思い人がいる。
とってもとってもかわいい。
その子と一緒に居たくて同じ高校に行った。
高校に入ったら毎日一緒にいようと思った。
夏休みだって毎日会おうと思ってた。

でも、気づいたら、もう、10月だ。

毎日どうやって知り合いになろうかと考えている。
そう、知り合いにもなってもいないのだ。
同じクラスになれたら自然に話すだろうと思ったら、クラスは端と端になってしまった。
きっかけさえあればいいのだ。
しかし偶然に会う機会なんてほとんど無い。
俺があの子の姿を捜してやっと遠くから見える程度だ。
それで毎日我慢している。

今日だってあの子を捜している。
今日は中庭にはいないのか?
いつもあそこに居るのに…あの背の高いやつと…

「だー!!誰だよこんたとこにバナナなんか置いたの!!」
前方で何かが騒いでいる。どうやらバナナの皮に滑ったらしい。
周りにはノートが散らばっている。
……古典的すぎないか?

しかし、気づいた。
あの子だ!
周りには誰もいない!
俺しかいない!
夢にも見たきっかけだ!!

「あっすみません!大丈夫ですよ。俺1人でできますので。
 ………ありがとうございます〜」
俺は声をかけようと思ったが、声がでなかった。
だから、声もかけずに、あの子の落としたノートをかき集めてあげた。
…近い!すぐそこに居る!しかも共同作業!!

「ど〜も、すみません〜〜。ありがとうございました〜〜」
ノートを渡したら、終わってしまった。
しかし、今目の前にいる!!すぐそこに!!

お辞儀をして行ってしまった。

「ぅわ!え!?…え?」
「…これ、観に来て。」
「え?え!?…ちょっと!あの!!」
俺は無我夢中であの子を引き止めていた。
そして、俺の入っているバンドのライブチケットを渡して、その場から離れた。
その後は彼が何を言おうが全く聞こえてこなかった。
心臓がこれまでにないほど打っている。

…やった!!話せた!!知り合いになれた!!
…やっぱ、かわいい…

あの子は来てくれるかな…


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