「なーなー。お前名前、"マリ"ってんだろー?すっげー似合わねーなー。」
ギャハハハと、笑いながら俺に話しかけてきた。


俺だって、先生に振られた時に気付いた。

『お前、もう"マリ"って体格じゃないじゃん?』

なんて言われて俺はまた傷ついたものだ。


「な、マリ、部活決めた?」
・・・・勝手に呼び捨てにされている。

「お前、誰?」
「お、なんだよ。昨日自己紹介しただろ?覚えてないにしろ、その言い方は傷つくからやめたほうがいいぞ。」
昨日、入学式の後、ホームルームの時間に自己紹介をした。3,40人いる野郎をその時に覚えるなんて無理な話だ。
「俺、リョージ。よんしく。」

・・・名字なんだろ。聞くのも悪い気がして、そのうち分かるだろうと聞かないでおいた。


ネコになれる日



俺とリョージはそれからよくツルむようになった。

リョージという男、身長は俺と同じくらいで、甘いマスクをしている。
そして、女に節操がない。
その甘いマスクを有効活用しているらしい。

その効果は、この学校にも効いたらしい。

よく、リョージは手紙をもらっている。
そう。ラブレターだ。

リョージはというと、
「きめー」
の一言。

リョージの反応は普通だろう。
だが、この学校。

俺がこの高校に入って本当に嬉しかったと思った。

同性愛に関してかなり寛容らしい。

学校自体は、普通だが、生徒内ではくっついた・離れた、誰それがあいつを好きだ、などよく噂に聞く。

俺は嬉しかったが、リョージには俺の性癖は言えないことがつらかった。
まあ、リョージとは世間話をすればいい。

俺は早く、俺の相手をしてくれる男を探さなければいけないのだ。



俺がこの学校に入ってもう一つ嬉しかったことがあった。
俺はよく手紙、そうラブレターをもらう。

どうやら俺は、モテル部類に入るらしい。



しかし、俺の理想は少々高いのではと最近思ってきた。

俺が萌える・・・好きになる容姿はというと、小さくて、細くて華奢で、勝気な目をしている男の子だ。

モテる俺なら、そんな男の子は直ぐに手に入ると思うだろう。

そう、俺にラブレター、告白をしてきた男の子にそんなかわいい男の子はたくさんいた。
でも、告白してきたのはそっちのくせに、俺が条件を出すと俺を振っていくんだ。
俺の条件はというと、


「俺のこと抱ける?」


そう。俺はネコなんだ。

かわいい男の子に、組み敷かれたい。

小犬のような男の子に、好いように喘がされたい。

美少年のような男の子に、ガンガン掘られたいんだ。



俺を抱いてくれる、かわいい小犬系の男はどこかにいないかな・・・・






「マリ、土曜合コン行かね?女子大生だって!」
「あー、行かね。」

「マリって、マジ付き合いわりーよな。つかホントは彼女いるべ?」
リョージはことある事に合コンとか、女の子がいる遊び場に誘う。
けど、俺は彼女なんて作るつもりは全くない。
彼女もいないと言っているのに、毎回誘いを断るから、そんな俺のことを信じられない顔で見る。

男なら彼女欲しいだろ!ヤりたいだろ!男子高校生の欲望なめんなよ!!
なんて、力説してくる。

俺だってそれは分かる。十分分かる。
男子高校生なんてどーしたらヤれるかしか考えてないんだ。
ただ、俺はその方向が男に向いてしまっているのだが。


そろそろリョージに隠すのも面倒臭くなってきたな・・・・
言ってもいーかな・・・・・
いつも手紙もらって「きめー」とは言っているが、そんな気持ち悪そうにも見えないし。

うん。これからも断るの面倒臭いしな。


「なー、リョージ。話あんだけど。」
「あ?やっぱ彼女いたって話か!?
てめー俺に隠れて彼女いたのかよー!ヤリ放題かよー!」
なんて騒いでいるが、お前こそヤリ放題、いや、ヤリ捨てが日常だろ。

「いや、彼女はいないって。俺な、彼氏が欲しいんだ。」
「てめー!やっぱ彼氏欲しいんじゃねーかよー!
なんだよ、いつもいらねーって孤高の王子みたいなこと抜かしてた癖に・・・・・」




「・・・・・・あ?今なんつった?」
「彼氏欲しい」


「ぉお!恥じらいもなく間髪入れずに答えやがった!」


「・・・お前、男が好きなの?」
「うん。男が好き。だから合コン行けないんだよ。」
リョージは頭を抱えてウーウー唸ってた。

「・・・・・ごみん・・・俺、ちょー無神経だった・・・・・合コン行こうとか、彼女作れとか、女とのセックスは最高とかすげー勝手にほざいてた・・」

ん?んん?

「・・・・・・・・つか、俺、ホントダメ男・・・・・ごめん・・・・。俺、男から貰った手紙いつも『きもい』とか言っちゃってて・・・・・マジごめん・・・」

・・・・・なんか、意外な反応だった。

男が好きな俺に対して、驚いたり、気持ち悪いとか言うのかと思った。


「リョージ、気持ち悪くないの?」
「・・・・あ?なんで?つかホント俺今自己嫌悪中だから・・・・」
「ふーん・・・」

「ホンット、ゴメン!すまん!すんまそん!俺のこと許して!俺マジマリのこと愛してるから!」
ガバッとリョージは俺に抱きついてきた。

おお。久しぶりに男に抱かれた。(言葉通りの意味で)
じゃなくて、

「リョージ、ごめん、俺はお前のこと愛してないわ。」
「マジ!!俺の片思いかー!!」
「あー、ごめん。」
ポンポンと、リョージの背中を叩いてあげた。


「・・・って、ちっがーう!!俺はそーゆー意味でラブじゃなくて、ダチのラブだって!!」
「あ、なんだ。」
「なんだじゃない!俺をそーゆー対象で見てたのか!?」
「いや、全然。」

「つか、リョージさ、俺のこと『きめー』て思わないの?」
「だからなんだよ、それ。思わねーよ。」
「だって、いつも男同士見ると『きめー』って言ってるじゃん。」
「あーんーあー、それはだな、一般論的なことを言ってみたまでだ。俺はお前は、俺と同じ部類かと思ってたんだよ。女とチャラチャラ遊ぶような奴かとさ。」


「まあ、変わらず俺とダチでいてくれるんならいいわ。」
「何言ってんべー、俺たちの関係は変わんねーよ。」


「で、彼氏欲しいっつことは、今彼氏いねーの?」
「ああ、いない。この学校に来たらできると思ったんだか・・」
「お、なんだよー、マリちゃん、リョージ様に話してごらんー?」


そうして、俺はリョージに恋バナもすることになった。



やっぱ、この高校に入ってよかったわ。

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070717(mon)
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